2021年度(令和3年度)介護報酬改定の内容が具体的となりました。
いかがでしょうか?
介護報酬は0.7%UPという
事前のアナウンスがありましたので
微増というのはある程度は予想していましたが
結果は
やっぱり微増でした
今日はケアマネジャーに関連する報酬単価について
お知らせしていこうと思います
目次(もくじ)
居宅介護支援の基本報酬
居宅介護支援の単価
まずは基本単価です
居宅介護支援費Ⅰ Ⅱ Ⅲとあります
これは担当件数によって単価が違うんですが
まあ99%のケアマネはⅠを算定しているでしょうから
こちらの単位数の説明をします
要介護1 2は 19単位UP
要介護345は 25単位UPしました。
ざっくりと計算すると
要介護度の割合は6割から7割ぐらいは要介護1・2の利用者だと思われるので
利用者ひとりにつき、約20単位上がったと仮定して
20単位は200円ですから
一人の利用者につき200円
ケアマネが30件の利用者を担当しているとすれば
30件×200円で6000円
ケアマネ一人当たり
1ヶ月 だいたい約6000円の報酬アップUP
居宅介護支援逓減性の緩和
もう一つの注目点は
居宅介護支援費の逓減性がこれまで40件だったのが
45件に引き上げられました。
つまり、これによって
ケアマネはギリギリ担当できる件数が39件であったのが44件に増えて
これまでより5件ほど多く担当することが出来る
ということになるのです
逓減性緩和には2つの条件があります
【逓減性緩和(40件→45件)2つの条件】
①ICTを活用すること
・利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリケーションを備えたスマホ
・訪問記録を随時記載できる機能付き(音声入力も可)のタブレット等
・利用者に係る情報共有を可能とする機能や関係者との日程調整の機能がある
・ ケアプラン等の情報をいつでも記録、閲覧できる機能を有している
②事務職員を配置すること
・勤務形態は常勤の者でなくてもよい
・その居宅の配置に限らず、同一法人内の配置でも認められる
・常勤換算でケアマネ1人あたり、1ヶ月 24 時間以上の勤務を必要とする
※ケアマネが常勤換算で2人勤務なら 2人×24時間=48時間/月
- 要介護認定調査関連書類関連業務
( 書類の受領、打ち込み、複写、ファイリング) - ケアプラン作成関連業務
( 関連書類の打ち込み、複写、ファイリング) - 給付管理関連業務
( 関連書類の打ち込み、複写、ファイリング) - 利用者や家族との連絡調整に関する業務
- 事業所との連絡調整、書類発送等業務
- 保険者との連絡調整、手続きに関する業務
- 給与計算に関する業務 等
介護予防支援(予防プラン)
介護予防支援基本単価
次に介護予防支援(予防プラン)についてですが
そして予防プランの単位数は7単位70円アップとなりました
がっくりです・・・
委託連携加算
大いに期待していた委託連携加算の単位数は
なんと300単位
やったぜ~っと思いきや
あけてびっくり玉手箱!委託連携加算の算定は初回のみで
継続的に上乗せされる加算ではありませんでした。
【委託連携加算 算定要件】
・居宅介護支援事業所に介護予防サービス計画の作成を委託した場合にのみ算定
・委託を開始した日の月に限り、利用者 1 人につき1回を限度として算定可
・地域包括は、当該加算を勘案した委託費の設定を行うこと
これで包括が予防プランセンターから脱却できないことはほぼ確定です
この加算で居宅のケアマネが、予防プランを積極的に引き受けることになるとは到底思えません
特定事業所加算
特定事業所加算の単位数
特定事業所加算についてですが、ご覧のように単位数がそれぞれ5~9単位ほど上がっております
本当に微増です・・・
特定事業所加算 算定要件の見直し
【特定事業所加算 算定要件の見直し内容】
①ケアプランに生活支援サービス・インフォーマルサービスを組み込む
②定期的に開催される伝達を目的とした会議がオンラインで可能に
やることは増えて報酬は70円程度のUP
・市町村保健師等が居宅を訪問して行う指導等の保健サービス
・老人介護支援センターにおける相談援助
・市町村が一般施策として行う配食サービス
・寝具乾燥サービス
・地域の住民による見守り、配食、会食
・精神科訪問看護等の医療サービス
・はり師・きゅう師による施術
・保健師・看護師・柔道整復師等による機能訓練
特定事業所加算(A)の新設
さらに新たに人員要件を緩和して、少ない職員数でも算定できる
特定事業所加算Aが新設されています
①人員要件の緩和
・少なくとも主任介護支援専門員1名 介護支援専門員1名の合計2名を常勤かつ専従で配置
・介護支援専門員を常勤換算方法で1の合計3名を配置する必要があること
②以下の4点が他の居宅と連携して対応することが認められています
- 計画的な研修会の実施
- 他法人との事例検討会
- 24時間の相談対応
- 実習生の受け入れ
特定事業所医療介護連携加算への移行
特定事業所医療介護連携加算 125単位/月
ちなみに3年前に新設された
特定事業所加算Ⅳは算定率が限りなく0%に近くて絶滅寸前なんですが
特定事業所医療介護連携加算という名前に代わって、かろうじて生き残っています
名前は変わっても算定要件はこれまでと変わらないので
引き続き絶滅危惧加算であることに変わりなはいと思います
【特定事業所医療介護連携加算 算定要件】※旧特定事業所加算Ⅳと同じ
・特定事業所加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれかを算定していること
・退院・退所加算を算定し、その医療機関等連携回数が35回以上であること
※算定回数ではなく連携回数であることに注意!
・ターミナルケアマネジメント加算の算定回数が5回以上であること
※回数は共に年間の総数
・判定期間は前々年度の3月から前年度の2月までの間
通院時情報連携加算
続いて通院時情報連携加算 :50単位/月です
これはケアマネジャーが利用者の通院に同席して、
・ケアマネが医師等に利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報提供を行う
・医師から情報提供を受けて支援経過記録等に記載する
こららを評価した加算です。
【通院時情報連携加算 算定要件】
・利用者1人につき、1月に1回の算定を限度
・利用者が医師の診察を受ける際に同席し、医師等に利用者の心身の状況や生活環境 等の必要な情報提供を行い、医師等から利用者に関する必要な情報提供を受けた上で、居宅サービス計画等に記録する
・診察に同席することは利用者の同意が必要!
・同席が診療に支障がないかどうかを事前に医療機関に確認!
1ヶ月に1回を限度として500円です。高校生のアルバイトの時給より安いです
ちなみにヘルパーの通院等乗降介助99単位 約1000円です・・・
利用実績のないマネジメントの評価
これはケアマネが、利用者の退院時等にケアマネジメント業務を行ったものの
利用者の死亡によりサービス利用に至らなかった場合、つまり空振りケース
きちんとモニタリングとかサービス担当者会議における検討など
必要なケアマネジメント業務や給付管理のための準備をしていた場合
居宅介護支援の基本報酬の算定が可能になります
算定要件等
・モニタリング等の必要なケアマネジメント業務を行い、給付管理票の(原案の)作成など、請求にあたって必要な書類の整備を行っていること
・居宅介護支援費を算定した旨を適切に説明できるよう、個々のケアプラン等において記録で残しつつ、居宅介護支援事業所において、それらの書類等を管理しておくこと
・医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した利用者
退院・退所加算 カンファレンス要件の追加
退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。
・退院・退所加算のカンファレンスの参加者に福祉用具専門相談員が追加
・退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合
サービス利用割合の説明
ケアマネに新たな義務が課せられることになりそうです
その内容とは過去6か月間に作成したケアプランについて
ヘルパー・デイサービス・福祉用具貸与の3サービスの
・各サービスの割合
・同一事業者によって提供されたものの割合
これらの説明義務を課せられるようです
・前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスの利用割合
・前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合
重要事項説明書には次のような文章を追記しましょう!
第〇条 当事業所のケアプランの訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の利用状況は別紙のとおりである。
※別紙参照
別紙
①前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスの利用割合
訪問介護 | % |
通所介護 | % |
地域密着型通所介護 | % |
福祉用具貸与 | % |
②前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合
訪問介護 | 〇事業所 % | 〇事業所 % | 〇事業所 % |
通所介護 | 〇事業所 % | 〇事業所 % | 〇事業所 % |
地域密着型通所介護 | 〇事業所 % | 〇事業所 % | 〇事業所 % |
福祉用具貸与 | 〇事業所 % | 〇事業所 % | 〇事業所 % |
判定期間 (令和 年度)
□ 前期(3月1日から8月末日)
□ 後期(9月1日から2月末日)
※令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)P69参照
・『指定居宅介護支援の提供の開始に際し、あらかじめ利用者に対して』とあるので割合の説明は初回のみ
・これらの内容は文書の交付に加えて口頭での説明と必ず利用者から署名を得なければならない。
① 前期(3月1日から8月末日)
② 後期(9月1日から2月末日)
ちなみにこの説明・交付・署名を行っていないと運営基準減算になります
管理者要件が主任介護支援専門員に(経過措置終了)
このように管理者要件の経過措置期間は令和3年3月31日をもって終了しました。
しかし下記の2パターンに限りさらに執行猶予がつきます
◆猶予措置(延長)※令和9年3月31日まで猶予
- 令和3年3月31日の時点で主任介護支援専門員でない者が管理者の場合、その介護支援専門員が管理者である限り猶予する。
◆猶予措置(延長)1年間
- 令和3年4月1日以降、不測の事態により、主任介護支援専門員を管理者とできなくなってしまった場合であって、主任介護支援専門員を管理者とできなくなった理由と今後の管理者確保のための計画書を保険者に届出た場合要件の適用を1年間猶予する。
※不測の事態については、保険者において個別に判断することとなるが、想定される主な例は次のとおり
- 本人の死亡、長期療養など健康上の問題の発生
- 急な退職や転居等
※経過措置期間を待たずに主任介護支援専門員の管理者を配置することが望ましい
生活援助の訪問回数の多い利用者等のケアプランの検証
2018年度介護報酬改定で導入された
生活援助の訪問回数が多い利用者のケアプランの検証の仕組みについて
届出のあったケアプランの検証や届出頻度について見直しされます。
・検証の仕方について、地域ケア会議のみならず、行政職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等での対応を可能とする
・届出頻度について、検証したケアプランの次回の届出は1年後とする
・区分支給限度基準額の利用割合が高い上、ヘルパーが利用サービスの大半を占める等の居宅介護支援事業所を抽出して、点検・検証する仕組みを導入する
次のようなケースが多い居宅はケアプラン点検、検証されやすくなります
・区分支給限度基準額の利用割合が高い
・訪問介護が利用サービスの大部分を占める
※2021年10月から施行
サービス付き高齢者向け住宅等の適正化
ケアプラン点検において以下のようなケースは検査されやすくなります。
・同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する利用者で区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い
区分支給限度基準額を利用割合が高いものが多い居宅介護支援事業者を抽出して、点検・検証して家賃の確認や利用者のケアプランの確認をおこっていく。
指導監督権限を持つ自治体に指導の徹底を図る。
※2021年10月から施行
各種会議等がオンラインで可能に
以下の会議等においてはオンラインでの開催が可能になります
①サービス担当者会議
②退院・退所加算の要件である面談およびカンファレンス
③特定事業所加算の要件である定期的に行われる会議(週1回程度)
・リアルタイムのツールであること
・オンラインで実施することについて、事前に利用者に同意を得ること
・個人情報の取り扱いに注意・配慮すること
職員の員数の記載(〇人以上)
【運営規定】
職員については、介護支援専門員の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、規程を定めるに当たっては、「○人以上」と記載することも差し支えない
となりましたつまり、運営規定や重要事項説明書に記載するケアマネの員数を『〇人以上』と記載しておくことで、人数が変更となるたびに変更届を提出しなくてもいいよ♪
ということです。
記録の保存は電子媒体でもOK!
記録の保存がペーパーからPDFなどの電磁記録媒体でもOKになりました。
これによって、書類の受け渡し等がメールなどが活用できることになるし、保管場所も不要になります。
また国は
『ケアプランや重要事項説明書等における利用者等へ の説明・同意について、以下の見直しを行う。』
と言っています。
- 書面で説明・同意等を行うものについて、電磁的記録による対応を原則認めることとする。
- 利用者等の署名・押印について、求めないことが可能であること及びその場合の代替手段を明示するとともに、様式例から押印欄を削除する。
ただし、ケアマネの説明義務や同意がなくなったわけではありません
・記録の保存を書面に代えて、電磁記録によって行うことが出来る。
・電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられる。
・電磁的方法による締結は、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましい。
記録の保存期間『完結の日』の起算日について
これまでケアマネの記録について『その完結の日から2年間保存』という決まりがありました。
しかし、完結の日の起算日については解釈が分かれるところで、国から明確に指示はありませんでしたが、今回の解釈通知に以下のように示されました
「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
2020年度をもって廃止される加算
報酬体系の簡素化の観点から、算定実績を踏まえて、廃止。
・小規模多機能型居宅介護事業所連携加算 300単位/月 ⇒ 廃止
・看護小規模多機能型居宅介護事業所連携加算 300単位/月 ⇒ 廃止
・介護予防小規模多機能型居宅介護事業所連携加算 300単位/月 ⇒ 廃止