目次(もくじ)
総合的な援助の方針

褥瘡 |
病院入院中に褥瘡が悪化してしまいました。この度、病院治療とリハビリが終了し退院となりましたが、褥瘡は完治していないため、医療的処置、栄養補給、清潔保持、患部の除圧に重点を置きながら、今後も安心して生活が出来るように支援するとともに、しっかりと皮膚の状態観察を行っていきます。 ・定期的に主治医及び看護師による処置が受けられるようにします。 ・患部の清潔保持を行います。 ・栄養バランスの保たれた食事が摂れるようにします。 ・患部の除圧ができるような環境を整備します。 【緊急連絡先】 |
重度 状態把握・観察 痛み軽減 |
心身機能の低下が見られ、発語は無く表情も乏しいので、少しでも言葉や笑顔を引き出すことができるよう、日々の関わりを大切にし、心穏やかな時間を過ごしていただけるよう寄り添い援助していきます。 【緊急連絡先】 |
重度 状態観察 身体清潔 声かけ 見守り |
身体状況等から意思の疎通困難なことが多いですが、簡単な発語で思いを伝えることが出来ています。これからも出来る限りご本人の意向をくみ取り、状態に合わせてケアできるよう、多職種で情報共有し、援助していきます。 【緊急連絡先】 |
重度 ベッド上生活 痛み軽減 不安軽減 |
心身機能の低下がみられ、ベッド上で過ごすことが多くなってきています。これからも痛みや不安なく在宅での生活が継続出来るよう支援していきます。 【緊急連絡先】 |
離床 除圧 清潔保持 栄養改善 |
寝たきり状態で体を動かす機会が少ないため、褥瘡が発生しています。できる限りベッドから離れて過ごしてもらえるような機会を作るとともに、褥瘡部分の除圧や清潔保持、栄養状態を改善して褥瘡の完治を目指していきます。 【緊急連絡先】 |
ニーズ・長期、短期目標・サービス内容

病院受診・治療
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
定期受診で医師に診てもらい、早く褥瘡を治したい | 褥瘡が治癒して、痛みがなく穏やかな毎日が過ごせる | 褥瘡が治癒する | 家族の付き添いのもと受診をする ・受診時に医師・看護師から褥瘡治癒に関する指示を受けてる 訪問看護の利用 ・褥瘡の処置・患部の洗浄 ・主治医に状況の説明報告・処置の指示を受ける |
定期的に通院して健康管理を行いたい | 褥瘡ができるのを予防する | 定期的に通院して健康管理を行う | 医師の指示に基づく褥瘡の処置 |
病気について不安が多いので、健康管理の支援を受け安心して生活したい | 褥瘡部分の痛みを緩和させる | 医師の指示に基づく処置を受け、褥瘡を完治させる | ・医師の診断および、褥瘡の処置 ・服薬の管理(用法・用量・副作用等の確認) |
寝たきり状態で、背中の褥瘡を早く治したい | 褥瘡が治癒し、痛みなく過ごせる | 医師の指示に基づく処置を受け、褥瘡を完治させる | 医師による褥瘡の処置 ・ドレッシング材による傷の保護 ・患部の消毒 ・軟膏塗布 |
定期受診で医師に診てもらい、早く褥瘡を治したい | 早期に褥瘡を完治させる | 褥瘡の処置を適切に受けて治癒させる | ヘルパーによる通院介助 ・診察室にて医師の診断を聞く ・診察・治療費用の支払い ・薬の受け取り ・タクシーの手配 ・院内での介助 |
医師の指示に基づく褥瘡の処置を受けたい | 1日でも早く褥瘡を完治させる | 適切な褥瘡の処置を受け安心して生活する | ヘルパーによる通院介助 ・診察の立会い ・医師からの説明を聞く ・通院介助、付き添い ・体調確認 |
体圧分散
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
寝たきり状態で、背中の褥瘡を早く治したい | 褥瘡が治癒して、痛みがなく穏やかな毎日が過ごせる | 患部の除圧を行い、褥瘡を完治させる | ・定期的な体位変換 ・エアマットの使用(床ずれ防止用具) ・クッションやパッドの使用 |
寝たきり状態で、臀部の褥瘡を早く治したい | 褥瘡が治癒し、痛みなく過ごせる | 褥瘡部分の痛みを緩和させる | 患部の除圧を行う ・マットレスの導入 ・全身状態の観察 ・定期的な体位変換 |
褥瘡を早く治したい | ベッドから離れて、できるだけ起きて生活することができる | 自分で定期的に体圧分散することができる | ・体圧分散型マットレスの利用(褥瘡がある為、患部の耐圧分散のために必要) ・なるべくベッドから離れて生活する |
寝たきり状態で、背中の褥瘡を早く治したい | ベッドから離れて、できるだけ起きて生活することができる | 違う姿勢で過ごす時間を作る | 出来る限り離床して、ベッドから離れて過ごす ・食事は食堂で摂るようにする ・1日に30分は車いすで過ごす ・定期的な体位変換 |
褥瘡悪化を予防したい | 褥瘡悪化を予防する | 褥瘡部分の除圧を行い、患部を完治させる | ・定期的な体位変換により褥瘡を予防する ・シーツのしわを除去する |
褥瘡部分の痛みを緩和してほしい | 褥瘡が治癒し、痛みなく過ごせる | 患部の痛みを緩和させる | ・特殊寝台及び特殊寝台付属品のレンタル ・車いすのレンタル ・床ずれ防止用具のレンタル ・クッションを使用したポジショニング |
スキンケア(清潔保持)
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
褥瘡にならないようにしたい | 早期に褥瘡が治る | 皮膚の清潔を保ち、褥瘡を完治させる | 入浴介助 ・患部の洗浄 ・全身状態の観察 ・皮膚を傷つけないように洗浄する ・入浴後の軟膏塗布 |
身体を清潔に保ち、皮膚のトラブルを防ぎたい | 皮膚の状態を観察し、褥瘡にならずに生活が出来る | 身体の清潔が保て、褥瘡予防が出来る | 皮膚の清潔を保つ ・患部の洗浄 ・全身状態の観察 ・皮膚を傷つけないように洗浄する |
身体を清潔に保ち、褥瘡を早く治したい | 患部の清潔を保持する |
皮膚の清潔を保つことで、褥瘡を完治させる |
・患部の洗浄 ・全身状態の観察 ・皮膚を傷つけないように洗浄する ・保湿クリームを塗って乾燥を防ぐ |
皮膚の清潔を保ちたい | 入浴することで、皮膚の清潔保持と血流を改善する | 定期的に入浴することで、患部の衛生状態を保つ | 入浴介助 ・撥水性の高い軟膏・保湿クリームを塗る 医師の指示に基づく褥瘡の処置 |
患部を清潔にしたい | 皮膚の清潔を保もち、褥瘡を完治させる | 定期的に入浴することで、患部の衛生状態を保つ | 入浴介助 ・着替えや入浴時に全身状態を観察する ①発赤・紫斑 ②水ぶくれ・むくみ ③ただれ・潰瘍(かいよう) ④滲出液やにおい ⑤局所の熱や体温の変化 |
栄養状態の改善
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
寝たきり状態だが、褥瘡を早く治したい | 摂取するカロリーを増やして栄養状態を改善する | 栄養改善を行い、褥瘡を完治させる | 栄養バランスの取れた食事を摂る |
栄養状態を改善して、褥瘡を早く治したい | 早期に褥瘡を完治させる | 栄養状態を改善する | 栄養改善 (高たんぱく、高カロリー、高ビタミンの栄養補助食品を摂取する) |
おいしい食事を摂って元気になりたい | 三食きちんと食べて健康的な毎日を送る | 栄養状態が改善される | 栄養バランスの取れた食事を摂る ・ヘルパーによる調理及び買い物援助 ・栄養指導 |
バランスのとれた食事ができるよう食材の確保をしたい | バランスの摂れた食事を摂ることができる | 病状の悪化を防ぐことができる | 栄養価の高い食事の提供 (配食サービス) |
褥瘡が早く治るように栄養のあるものを摂りたい | 栄養価の高い食事を摂り、栄養状態を改善する | 栄養状態を改善させる | 高カロリー、高たんぱくのサプリメントによる栄養補助 |
サービス担当者会議の要点

検討した項目 検討内容 【健康管理について】 【緊急時の対応について】 【外出の機会確保について】 【日常生活について】 【食生活について 】 【生活環境について】 【介護者の負担軽減について】 結論 残された課題 |
モニタリングで使える文例
【健康管理について】
- 褥瘡になりそうな部位を定期的に観察する。
- 褥瘡部分については洗浄、薬の塗布後がーで保護している。以前より患部は縮小傾向にある。
- 臀部や仙骨部など褥瘡ができやすい部位については入浴時などに観察する。
- 看護師が患部の状態確認と軟膏塗布、ガーゼ交換を行っている。
- 患部の清潔を保てるように、定期的に軟膏塗布やガーゼ交換を行っている。
- 医師の指示のもと褥瘡の処置を行い、定期的に医師に状態報告を行っている。
- バイタルチェック(脈拍 体温 血圧測定)を定期的に行っている。
【緊急時の対応について】
- 病状の悪化(骨の露出 壊死等)を早期発見できるようにし、その際は直ちに医師へ報告できるようにしている。
- 病状の悪化(内出血 ただれ 壊死等)を早期発見できるようにし、必要に応じて医師へ報告できるようにしている。
【外出の機会確保について】
- ベッドで過ごす時間が長くなるため、少しでも外出の機会を確保し寝たきりにならないようにしている。
- できるだけベッドから離れて過ごせるように離床の機会を確保している。
- できるだけベッドから離れて過ごせるように、食事は車いすに座って摂ってもらうようにしている。
【日常生活について】
- 皮膚の清潔保持のため、入浴時には皮膚を傷つけないように患部の洗浄を行い、合わせて全身状態を観察するようにしている。
- 皮膚の清潔を保持するため、定期的に衣類の交換を行っている。
- 皮膚の清潔を保持するため、定期的にシーツ交換を行っている。
- 入浴ができない場合は清拭や部分浴を行って、患部や皮膚を清潔に保てるようにしている。
- 定期的に入浴を行い、幹部の清潔を保てるようにしている。
- 定期的にオムツ交換を行い、患部が不衛生にならないようにしている。
- 体位変換を○時間おきに行い、患部にかかる体圧を分散できるようにしている。
- 血流の悪化を予防するため、定期的に体位変換を行っている。
【食生活について 】
- 食欲不振も想定されるため、必要に応じて高カロリーの栄養補助食品も準備している。
- 食事量や水分量の減少により、栄養不良、脱水になる可能性があるため、ケアチームでしっかりと見守り、情報共有できるようにしている。
- 高カロリー、高たんぱく、高ビタミンの栄養補給ができるような食事を提供している。
【生活環境について】
- 定期的にシーツのしわを除去する
- 体圧分散マットレスを導入し、患部の圧迫を分散し血流を改善させている。
- 除圧マットレスの導入し、患部の体圧を分散している。
- 介護者が体位変換しやすいように、ギャッジアップ機能付きのベッドを導入する
【介護者の負担軽減について】
- 受診時に医師・看護師から褥瘡治癒に関する指示を受け、家族が適切な処置を実施する
- 介護者の負担やストレスを軽減して、在宅生活の継続を支援する
- 介護者に対して褥瘡予防の技術や知識を指導して、在宅介護に生かせるようにする
【総合評価】
- 褥瘡は完治していないため、医療的処置、栄養補給、清潔保持、患部の除圧に重点を置きながら皮膚の状態観察をしっかりと行っていく必要がある。
- 褥瘡による痛みや違和感をできるかぎり軽減し、少しでも痛みを感じることなく生活が続けられるよう患部の体圧分散、栄養補給、清潔保持を中心に支援していく。
- 褥瘡が完治できるよう定期的に主治医及び看護師による処置が受けられるようにすると同時に、患部の清潔保持、栄養バランスの保たれた食事摂取、患部の除圧ができるような環境を整備する必要がある。
- 訪問看護を利用することで、患部の清潔が保持されている。
- 生活環境を整備することで、患部の除圧ができている。
- 心身機能の低下がみられ、ベッド上で過ごすことが多くなってきている。これからも痛みや不安なく在宅での生活が継続出来るよう病状の異変を早期発見できるよう、医師を初めとする医療機関との連携を密に行っていく必要がある。
- 寝たきり状態で体を動かす機会が少ないため、褥瘡の完治が見込めない。できる限りベッドから離れて過ごしてもらえるような機会を作るとともに、褥瘡部分の除圧や清潔保持、栄養状態を改善して褥瘡の完治を目指していく。
- 介護保険サービスを利用することで、病状の管理と疼痛軽減、褥瘡の予防を行い、安心して不安なく生活できるようにする。
- この度、病院治療とリハビリが終了し退院となったが、褥瘡は完治していないため、医療的処置、栄養補給、清潔保持、患部の除圧に重点を置きながら、今後も安心して生活が出来るように支援するとともに、しっかりと皮膚の状態観察を行っていく必要がある。