今さら聞けないケアマネジメント

運営基準減算回避!『物理的理由』『やむを得ない理由』『特段の事情』

ケアマネジャーとして最も恐ろしい減算の一つに運営基準減算がある。
特に特定事業所加算を算定している事業所にとっては絶対に避けたい減算である

そんな中でケアマネが判断に悩む以下の3つについて解説してみたい

★この記事に書いてあること★
①アセスメントの『物理的理由』とは?
②サービス担当者会議の『やむを得ない理由』とは?
③モニタリングの『特段の事情』とは?

①アセスメントの『物理的理由』とは?

アセスメントは利用者の居宅を訪問して実施しなくてはならない!

【指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準】
第13条
七 介護支援専門員は、前号に規定する解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。

以上のように運営基準にもこのように記載されている!

しかし、自宅でアセスメントできない場合もある為、下記のような物理的理由による緩和措置がある

⑦課題分析の留意点(第七号)
介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者が入院中であることなど物理的な理由がある場合を除き必ず利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。

つまり物理的理由とは
利用者が入院中であり、物理的に自宅で面接できない場合は自宅以外の場所でのアセスメントが認められる。またそれ以外に、施設入所などによる物理的理由も考えられる

★ポイント
・これらの物理的理由は支援経過記録にしっかりと記載しておくこと!
・退院後、自宅への訪問を速やかに行い、追加アセスメントを実施すること!

◆支援経過記録の記載例◆

【入院先でのアセスメント実施】 
利用者が入院中であり、物理的な理由により利用者宅においてアセスメントを実施出来ないため、入院先においてアセスメントの趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解・同意を得た後、ケアプラン原案作成のためのアセスメントを実施する。 
※内容はアセスメントシート参照 




②サービス担当者会議の『やむを得ない理由』とは?

【解釈通知】
⑮居宅サービス計画の変更の必要性についてのサービス担当者会議等による専門的意見の聴取

介護支援専門員は、利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合など本号に掲げる場合には、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、サービス担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。なお,ここでいうやむを得ない理由がある場合とは、開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により、サービス担当者会議への参加が得られなった場合や居宅サービス計画の変更から間もない場合で利用者の状態に大きな変化が見られない場合等が想定される。

この場合『やむを得ない理由』として
①日程調整を行ったが、サービス担当者の事由で参加が得られなかった
②ケアプランの変更から間もない場合で、利用者の状態に変化が見られない場合

と考えられる

★ポイント
・これらのやむを得ない理由は支援経過記録にしっかりと記載しておくこと!
・サービス担当者会議は実施出来なくても担当者への照会の記録は取っておくこと

◆サービス担当者会議のやむを得ない理由の支援経過記録記載例◆

【サービス担当者への照会】 
〇〇事業所に対してサービス担当者会議の開催案内を行うも、日程が合わず、やむを得ない理由と判断し、照会により意見を求めることにする。
※詳細は別紙参照
【軽微な変更のためサービス担当者会議を実施せず】 
居宅サービス計画の変更の必要性があったが、利用者の状態に大きな変化が見られず、軽微な変更に該当すると判断したため、利用者及び家族、サービス事業所にその旨を説明したところ合意を得られたので、サービス担当者会議は行わないこととする。
※詳細は別紙参照
【サービス担当者会議の未招集】 
〇〇の理由によりサービス内容変更の必要性が生じたが、急遽の変更となったため担当者との日程調整がつかず、サービス担当者会議を開催することが困難。サービス担当者に照会をし、その内容を本人及び家族と確認し、ケアプランの内容を変更した。
※詳細は担当者会議の要点(第4表)参照 

③モニタリングの『特段の事情』とは?

モニタリングは必ず利用者の居宅で実施されなければならない
その根拠は下記の通り!

【運営基準】
十四 介護支援専門員は、前号に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。

イ 少なくとも一月に一回利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。
ロ 少なくとも一月に一回、モニタリングの結果を記録すること。

このように特段の事情がないかぎり、利用者の居宅で実施されなければならない!
ではその『特段の事情』について記載された解釈通知を見てみると

【解釈通知】
介護支援専門員は、モニタリングに当っては、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、主治の医師、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、当該指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、特段の事情がない限り、少なくとも 1 月に 1 回は利用者の居宅で面接を行い、かつ、少なくとも 1 月に 1 回はモニタリングの結果を記録することが必要である。
また「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。
さらに、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。

つまり特段の事情とは利用者の事情であり、ケアマネ側の事情は通用しない!ということだ

具体的な特段の事情とは?

①利用者の居宅を訪問すれば、本人と家族の関係が悪化すると客観的に認められる場合

②利用者が緊急で入院、あるいは緊急で短期入所サービスを利用することになったために、利用者の居宅でモニタリングが出来なかった場合

③利用者がロングショートステイを利用しており自宅に帰る予定がない場合
④利用者が死亡したために、モニタリングが出来なかった場合
地震・風水害や火災により利用者の居宅が被災したために、利用者の居宅でモニタリングが出来なかった場合などが考えられる

※この当たりはローカルルールが存在するので、保険者に要確認

なので
ケアマネ側の都合である
・忙しい
・風邪をひいた
・ケアマネが入院した
・訪問日が休業日
・緊急ではない入院(※入院予定日までに自宅に訪問できる可能性がある為)
と言ったものは特段の事情に該当しないと考えられる

★ポイント
これらの特段の事情は支援経過記録にしっかりと記載しておくこと!

◆モニタリングの特段の事情における支援経過記録の記載例◆

居宅でのモニタリング不可(特段の事情)
【居宅訪問での関係悪化】 
利用者の居宅を訪問すれば本人と家族の関係が悪化すると客観的に認められるため、関係機関(地域包括支援センターや市町の介護保険担当課)と協議したうえで、特段の事情であると判断し、居宅で面接を行ってのモニタリングは実施しなかった。 ※別紙参照
【緊急入院】 
〇〇のため、〇〇病院に緊急入院となった。医療機関や家族に確認したところ、月を通じて居宅に退院する予定が立たないため、特段の事情であると判断し、入院先病室にて利用者と面接しモニタリングを実施した。 
※別紙参照
【緊急ショート】 
〇〇の事情により緊急ショートステイ利用となった。今後、月を通じて居宅に退所する予定が立たないため、特段の事情であると判断し、入所先居室にて利用者と面接しモニタリングを実施した。 
※別紙参照
【ロングショートステイ】 
現在ロングショートステイを利用しており、月を通じて居宅に帰宅する予定がないため、特段の事情であると判断し、入所先居室で利用者と面接しモニタリングを実施した。 
※別紙参照

と言うことで

★今日のまとめ

  • アセスメントの『物理的理由』とは、入院や入所のことを指す。
  • サービス担当者会議の『やむを得ない理由』とは、担当者の理由で招集が困難であった場合や、サービス内容を変更して間もない段階で、利用者の状態に変化が見られない場合などが考えられる。
  • モニタリングの『特段の事情』とは、利用者の都合により居宅でモニタリングが出来ない場合であって、緊急入院や入所などが考えられる。ケアマネの事情は該当しない