ケアマネの将来像『今後どうなる?』

ケアマネ不足が引き起こす将来

ケアマネジャーの数が減少している

平成30年度のケアマネジャー試験の受講者は
前年度の4割にとどまった(なんと6割減である)


年度

受験者数

合格者数

合格率

第1回(H10年度)

207,080 人

91,269 人

44.1%

第2回(H11年度)

165,117 人

68,090 人

41.2%

第3回(H12年度)

128,153 人

43,854 人

34.2%

第4回(H13年度)

92,735 人

32,560 人

35.1%

第5回(H14年度)

96,207 人

29,508 人

30.7%

第6回(H15年度)

112,961 人

34,634 人

30.7%

第7回(H16年度)

124,791 人

37,781 人

30.3%

第8回(H17年度)

136,030 人

34,813 人

25.6%

第9回(H18年度)

138,262 人

28,391 人

20.5%

第10回(H19年度)

139,006 人

31,758 人

22.8%

第11回(H20年度)

133,072 人

28,992 人

21.8%

第12回(H21年度)

140,277 人

33,119 人

23.6%

第13回(H22年度)

139,959 人

28,703 人

20.5%

第14回(H23年度)

145,529 人

22,332 人

15.3%

第15回(H24年度)

146,586 人

27,905 人

19.0%

第16回(H25年度)

144,397 人

22,331 人

15.0%

第17回(H26年度)

174,974 人

33,539 人

19.2%

第18回(H27年度)

134,539 人

20,924 人

15.6%

第19回(H28年度)

124,585 人

16,281 人

13.1%

第20回(H29年度)

131,560 人

28,233 人

21.5%

第21回(H30年度)

49,312 人

4,994 人

10.1%

第1回~第20回合計

2,755,820 人

695,017 人

25.2%

なぜケアマネ試験受講者が減少したかについてはこちらに記事に書いてある
ケアマネ減少時代の到来

今日はその次の状況を考えてみたい

ステップ1 ケアマネジャーの減少

現場でケアマネをしている人であれば
最近ケアマネジャーが不足していることは実感できるはずである
実際、介護職同様に募集をかけてもほとんど応募はない

ステップ2 ケアマネジャーの人件費高騰

市場の原理では希少性の高いものには高いお金を払うようにできている
つまり、ケアマネジャーが減少していくということは

・事業所としては高い賃金を出してなんとかケアマネを集めようとする
・高い給料を払って辞めさせないようにする

まして、平成32年からは居宅介護支援事業所の管理者は
主任ケアマネに限定される

~平成30年3月31日まで  平成30年4月1日~
平成33年3月31日
平成33年4月1日~
管理者  介護支援専門員 介護支援専門員
主任介護支援専門員

主任介護支援専門員

そうなればさらにレア度の高い主任ケアマネジャーなどは
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどで奪い合いになるだろう

子どもが高い金を払ってレアカードを買うのと一緒だ!

そうすれば採算度外視でケアマネジャーに高い給料を払わざるを得なくなる
これはケアマネにとって一見良いことのように思えるが
ところがどっこいそうはいかないのだ!

ステップ3 ケアマネ人件費を他サービスで補填

当然経営者は赤字覚悟でケアマネに高い給料を払うことになるのだが
その赤字の穴埋めをどこでしようとするだろうか?

併設のヘルパーやデイサービスなどの事業で穴埋めをしようとする
介護であっても経営である以上、どこかで収入を確保しようとするのは当然のことである

・ケアマネに利用者を自社に誘導させる
・併設のサービスに利益誘導させる!



ステップ4 ケアマネの公正中立崩壊

そうすると公正中立を第一とするケアマネジメントは根底から崩壊することになる
もともと居宅介護支援事業は利益率が低く
介護保険制度開始以来、すべての介護サービス中で唯一の赤字サービスである

介護サービス全体の2016年度  収支差率
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)  1.6%
介護老人保健施設  3.4%
介護療養型医療施設  3.3%
訪問介護(介護予防含む)  4.8%
訪問看護(介護予防含む)  3.7%
通所介護(介護予防含む)  4.9%
通所リハビリ(介護予防含む)  5.1%
定期巡回随時対応型  4.8%
小規模多機能型居宅介護  5.1%

居宅介護支援
 −1.4

※2017年度の「介護事業経営実態調査」

そんな万年赤字経営の居宅介護支援事業所で
これ以上ケアマネに高い給料を払えるはずはないのだ!
払うのだとしたら経営者が考えることはただ一つ!

・ケアマネに併設サービスへの囲い込みを命じる!
・支給限度額ギリギリまで併設サービスを利用させるよう命じる!

こう考えるのが普通である!

ケアマネの公正中立など絵に描いた餅になってしまうのだ!

ケアマネ不足が招く影響は
ケアマネジメントの公正中立の崩壊につながるのだ

さらに・・・

ステップ5 ケアマネ批判、向かい風が吹く

そうなればケアマネに対する世間や行政からの批判は強くなるだろう
それ以降は下のような負のスパイラルが続いていくことになる

そうなればケアマネジャーへの批判や風当たりはさらに強くなる
   ↓
制度改正でさらに減算規定が厳しくなる
   ↓
減算にならないようにペーパーワークが増える
ケアマネ『やってられねぇ〜』
   ↓
ケアマネ退職者増・受験者数の減少
(もうすでに発生しているが・・・)
まあ、それが国の狙いで
初めからケアマネジャーの資格自体を無くそうとしているのならば
それはそれで計算通りなのだろうが

介護保険制度開始以来
制度をかき回して、挙句の果てに
ケアマネのことを

やれ介護保険制度の要!

やれ地域包括ケアシステムの要!
とおだてて木に登らせておいて

下りのはしごを外す国の責任は重い!

まあ
おだてられて調子に乗って木に登ったケアマネにも責任はあるが・・・

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