介護保険改正の解説

ターミナルケアマネジメント加算の算定用件 2018年

2018年の介護報酬改定で、居宅介護支援に新設された
ターミナルケアマネジメント加算について解説する

◆ターミナルケアマネジメント加算 加算要件

◆ターミナルケアマネジメント加算について
末期の悪性腫瘍の利用者又はその家族の同意を得た上で、主治の医師等の助言を得つつ、ターミナル期に通常よりも頻回な訪問により利用者の状態変化サービス変更の必要性を把握するとともに、そこで把握した利用者の心身の状況等の情報を記録し、主治の医師等や居宅サービス事業者へ提供した場合を新たに評価する。

ターミナルケアマネジメント加算 400単位/月(新設)


○対象利用者

・末期の悪性腫瘍であって、在宅で死亡した利用者(在宅訪問後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)


○算定要件

24時間連絡がとれる体制を確保し、かつ、必要に応じて、指定居宅介護支援を行うことができる体制を整備

・利用者又はその家族の同意を得た上で、死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上在宅を訪問し、主治の医師等の助言を得つつ、利用者の状態やサービス変更の必要性等の把握、利用者への支援を実施

・訪問により把握した利用者の心身の状況等の情報を記録し、主治の医師等及びケアプランに位置付けた居宅サービス事業者へ提供

「ターミナル患者 イラスト」の画像検索結果

ここでのポイントは何といっても、在宅で死亡した利用者に限られたことになるだろう
つまり、ターミナル患者を受け持ったとしても、最終的に急性期の病院やホスピス等に入院し死亡した場合は算定できない!ということになる。あくまでも在宅での死亡に限られる!
死亡日前2週間に2回訪問は、ターミナル患者であれば、それくらいの頻度で訪問するだろう

解釈通知より
ターミナルケアマネジメント加算について

(1) 在宅で死亡した利用者の死亡月に加算することとするが、利用者の居宅を最後に訪問した日の属する月と、利用者の死亡月が異なる場合には、死亡月に算定

(2) 1人の利用者に対し、1か所の指定居宅介護支援事業所に限り算定できる算定要件を満たす事業所が複数ある場合には、当該利用者が死亡日又はそれに最も近い日に利用した指定居宅サービスを位置づけた居宅サービス計画を作成した事業所が算定

(3) 利用者が同意した時点以降は、次に掲げる事項を支援経過として居宅サービス計画等に記録

ア 終末期の利用者の心身又は家族の状況の変化や環境の変化及びこれらに対して居宅介護支援事業者が行った支援についての記録

イ 利用者への支援にあたり、主治の医師及び居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等と行った連絡調整に関する記録

(4) ターミナルケアマネジメントを受けている利用者が、死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24 時間以内に死亡が確認される場合等については、ターミナルケアマネジメント加算を算定することができるものとする。

この解釈通知でのポイントは(4)

(1)(2)(3)は取り立てて難しいことは言っていないが(4)の意味は在宅で死亡した患者にしか本加算は算定できないが、死亡診断のために医療機関へ搬送されたケースはこの限りではない!ということ。

「ターミナルケアマネジメント加算」について、利用者の同意文書の様式は特に定められていない。文書量半減の取組みが進められる中で、新たに様式を増やす必要はなく、第5表の居宅介護支援経過への記録で十分と思われる

◆ターミナルケースの支援経過記録 記入例 見本

支援経過記録のコピペ用としてご活用ください!

末期のがん(悪性腫瘍)の利用者
【初回のケアプラン作成時】
主治の医師等が日常生活上の障害が1ヶ月以内に出現すると判断したため、主治の医師等の助言を得た上で、予測される状態変化と支援の方向性について主治医に確認の上、状態変化を想定したケアプランを作成した。
主治医からの助言内容『                         』
【サービス担当者会議の省略】
サービス担当者会議において、今後利用が必要と見込まれる居宅サービス等の担当者を含めた関係者を招集した上で、予測される状態変化と支援の方向性について関係者間で共有した。あわせて、今後状態に変化が生じた際は迅速に対応していくため、サービス担当者会議を招集せずにケアプラン内容の変更を行っていくことについて、利用者および家族、サービス事業所の合意を得た。
【ターミナルケアマネジメント加算】
・ターミナル期に担当ケアマネジャーが通常よりも頻回に訪問すること
・担当ケアマネジャーが状態変化やサービス変更の必要性を把握すること
・把握した心身の状況等の情報を記録すること
・把握した心身の状況等を主治の医師等やケアプランに位置付けた居宅サービス事業者へ提供すること
・必要に応じて主治医等に病状等に関する指示をうけること
以上の内容について利用者および家族に説明し、同意を得た
◆ターミナルケアマネジメント加算 算定チェックシート

ターミナルケアマネジメント加算

算定チェックシート

□ターミナルケアマネジメントを受けることの同意を利用者から得ていますか?

□ターミナルケアマネジメント加算の体制について保険者に届け出をしていますか?

□24時間連絡できる体制を確保していますか?

□24時間体制の中で、必要に応じて居宅介護支援を提供できる体制を整備していますか?

□在宅で死亡した利用者ですか?
(死亡診断目的で医療機関に搬送され、24時間以内に死亡確認されたケースでも可)

□利用者対して、その死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上、利用者又はその家族の同意を得て、当該利用者の居宅を訪問していますか?

□利用者の心身の状況等を記録し、主治の医師及び居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供していますか。

◆ターミナルケアマネジメント加算 同意書様式 見本

ターミナルケアマネジメント加算
同意書



私は、貴事業所が提供するターミナルケアマネジメントについての説明を受けましたが、私どもの意向に沿ったものであり、下記の内容を確認し同意いたします。

① ターミナル期に担当ケアマネジャーが通常よりも頻回に訪問すること

② 担当ケアマネジャーが状態変化やサービス変更の必要性を把握すること

③ 把握した心身の状況等の情報を記録すること

④ 把握した心身の状況等を主治の医師等やケアプランに位置付けた居宅サービス事業者へ提供すること

⑤ 必要に応じて主治医等に病状等に関する指示をうけること



〇〇居宅介護支援事業所 管理者  殿

平成   年   月   日

 利用者 住 所                  

                       

利用者 氏 名               ㊞

家 族 住 所                

                       

家 族 住 所               ㊞


(続 柄)    

今回は診療報酬も同時改定されているので、このターミナルケアマネジメント加算に連動して、医療でも下記のような加算要件が新設された・・・

◆ターミナルケアマネジメント加算に早退する診療報酬の加算

ターミナルケアマネジメント加算と相対する診療報酬の加算

在宅時医学総合管理料【在宅がん医療総合診療料)

末期のがん患者に対し円滑に医療・介護サービスを提供する観点から、訪問診療を提供する主治医から患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援事業者への情報提供について、在宅時医学総合管理料等の要件に追加する。

末期のがん患者については、在宅時医学総合管理料等の要件に、当該患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援事業者に対し病状や予後等について情報提供することを追加する。
[算定要件]
(略)悪性腫瘍の患者については、医学的に末期であると判断した段階で、当該患者を担当する居宅介護支援事業者に対し、予後及び今後想定される病状の変化、病状の変化に合わせて必要となるサービス等について、情報提供すること。
以上が末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントについてのポイントだ!
ハードルの高い加算ではあるが、地域の病院や診療所と連携を取って、しっかりと加算算定をしていくことが必要と思われる

◆ターミナル期のケアマネジメントプロセス簡素化

合わせてターミナル期の利用者についてケアマネジメントプロセス簡素化について解説!

◆ケアマネジメントプロセスの簡素化

著しい状態の変化を伴う
末期の悪性腫瘍の利用者
については、主治の医師等の助言を得ることを前提として、サービス担当者会議の招集を不要とすること等により ケアマネジメントプロセスを簡素化する。【省令改正】

ポイントは3つ

①医師から1ヶ月以内に日常生活上の障害が発生すると判断されている
②最初の担当者会議で今後想定されるサービス事業者をあらかじめ招集しておく!
③今後の状態変化、支援の方向性をケアプランに落とし込んでおく

※個人的には外れが無いように、考えられるケアは全て入れておく方が良いと思われる

そうしておけば
いざ、状態変化が生じ、サービス内容等を変更する際もサービス担当者会議は不要!
※利用者・家族とサービス事業所の同意が必要

Q&Aより
主治の医師について

問132
末期の悪性腫瘍の利用者に関するケアマネジメントプロセスの簡素化における「主治の医師」については、「利用者の最新の心身の状態、受診中の医療機関、投薬内容等を一元的に把握している医師」とされたが、具体的にどのような者を想定しているのか。

(答)
訪問診療を受けている末期の悪性腫瘍の利用者については、診療報酬に おける在宅時医学総合管理料又は在宅がん医療総合診療料を算定する 医療機関の医師を「主治の医師」とすることが考えられ、これらの医師については、居宅介護支援専門員に対し、病状の変化等について適時情報提供を行うこととされていることから、連絡を受けた場合には十分な連携を図ること。また、在宅時医学総合管理料等を算定していない末期の悪性腫瘍の利用者の場合でも、家族等からの聞き取りにより、かかりつけ医として 定期的な診療と総合的な医学管理を行っている医師を把握し、当該医師を主治の医師とすることが望ましい。

ということなので、定期的な診療と管理を実施しているかかりつけ医であればOKということ

特定事業所加算Ⅳについてはこちら↓

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