ケアマネの事業所には介護サービス事業所の営業マン(ウーマン)がよく来る
私の事業所には複数人のケアマネが所属しているので、やはり、結構な頻度で営業マンがやってくる
介護サービス事業所の中には
- 新たに事業所を立ち上げた
- 新しいサービスを導入した
- 新しい担当者が入社した
- 利用者数が減少しており、なんとか新規利用者を獲得したい
など、様々な理由でケアマネに営業をかけたいこともあるだろう。ところが、ケアマネという人種はなかなか取り扱いが難しい人種であり(自分も含めて)やり方を間違うと、かえってマイナスの印象を与えてしまい、二度と利用者を紹介してもらえない・・・などと言ったことにもなりかねない。
『ケアマネに利用者は紹介してもらいたい』
『でもケアマネってなんか苦手なんだよね~』
『ケアマネ営業ってどうやったらいいんだろう?』
そんな疑問をお持ちの方に
現役ケアマネ(介護支援専門員)の立場として『ケアマネ営業』を行う上でのコツを説明してみたい。
目次(もくじ)
①ケアマネ営業とは?
ケアマネ営業とは、『デイサービスやヘルパーなどの介護サービス事業所が、ケアマネにお客さんを紹介してもらうために、チラシやパンフレット・名刺を持って挨拶に行くこと』である。
現在の介護保険制度において、介護の相談窓口はケアマネジャーとなっている。つまり、高齢者や介護している家族の悩みや困りごと、希望などを聞いて、必要なサービスを紹介するのがケアマネジャーである。
しかし多くの高齢者は
- どのような介護サービスの種類があるのか?
- どのような介護サービス事業所があるのか?
- 評判の良いところはどこなのか?
このような情報がわからない。
そこで登場するのが、ケアマネ(介護支援専門員)である。
介護サービスや事業所のことがわからない利用者は、ケアマネにサービスを紹介してもらうしかない!
そんな大役を任されたケアマネは
- 何のサービスを利用すべきなのか?
- どこのサービス事業所を紹介するのか?
の候補を決めることになる。
その候補選びに『介護サービス事業所としては、名乗りを上げたい。』のだ。その候補に挙がるにはケアマネにしっかり事業所をアピールして、売り込んでおかなければならない。
そのアピール、売り込み行為が『ケアマネ営業』と言うことになる。
ケアマネ詣でとは?
ケアマネ営業は『ケアマネ詣で』と揶揄されることがある。『ケアマネ詣で』も要はケアマネ営業を指すのだが、どちらかというと、こちらはダーティーなイメージで、ケアマネ営業よりケアマネの方が立ち位置が上であり、介護サービス事業所からのご挨拶を受けるといったイメージだ。
(※実際にケアマネの方が立場が上などということはないが、勘違いしているケアマネは事実いる)
場合によっては、お中元やお歳暮、その他贈り物等のやり取りがあるかもしれない・・・ 利用者を紹介してもらう見返りに、金品などの収受が行われることもあるかもしれない・・・
※ちなみに利用者を紹介してもらうことの代償として、金品等の収受は運営基準で禁止されている。
まあ、わかり易く言うと『悪代官と越後屋』のおぬしも悪よのう的な関係とでもいうべきか
このような不適切な関係性(癒着)は『サービスの質の低下』『サービスの囲い込み』につながり、利用者が適切なサービスを受けるという最大の権利を侵害してしまうことになりかねない。
必要以上にケアマネに媚を売り、ましてや贈り物を届けることなどはやめるべきだ!
③こんなケアマネ営業はイヤだ!
介護サービス事業所は、ケアマネに自事業所のサービスを知ってもらい、『担当している利用者さんを紹介してほしい!』という思いがあり、紹介を期待するのも当然であろう
ところがアピールに来るのはいいが
中には『Youは何しにここに来たの?』と言いたくなる事業所もある
そのいくつかのパターンを紹介したい
死ぬほど忙しい時間にアポなしでやってきて、延々と喋りまくるパターン
ケアマネも暇ではないので、いつも時間があるわけではない。こちらの都合も聞かずに押しかけてきて、延々と自事業所のアピールをする事業所がある。
しかも忙しい時に限ってやってくる。はっきり言っていい迷惑である
最初からマイナスのイメージなので、数ある事業所の中から、あえてその事業所を選択することはない
時期的に言って、月末・月初はモニタリング訪問やレセプト(実績)請求業務で多忙な為、営業の訪問は避けたほうが無難であろう
上司から言われたので仕方なくやってくるパターン
おそらく会社の上司から『ケアマネのところに営業に行って来い!』と言われたのであろう。『行けと言われたので、仕方なくやってきました』のオーラを発しながらやってくる人がいる。
パンフレットだけおいて、たいした説明もせずに帰ろうとする。『ケアマネのところに行ってきた』という事実だけが欲しいようだ・・・
そんな事業所に付き合っている暇はない!
早々に帰られるがよい!
何一つ質問に答えられないパターン
ケアマネが営業に来た事業所に対して
- 今まだ空きはありますか?
- 認知症があるんですが、受け入れ可能ですか?
- この地域まで迎えに来てもらえますか?
- 利用料金は?
- こんな時に対応してもらえますか?
『さあ〜』
『どうでしょうか?』
『ちょっと私ではわからないんですよね〜』
何も答えられない・・・
もういいです『さようなら』
やたらとタバコ臭い
ケアマネは圧倒的に女性が多く、タバコに嫌悪感を抱く人も多い。(男性であっても)タバコを吸わない人はタバコ臭アンテナが半端なく、営業前に車中でタバコを吸っていた場合などは、すぐさまアンテナが反応するのである。
そんなタバコ臭い人が、どんなに良いことを言っても残念ながら頭に入って来ない!
それ以外でも体臭(特に夏場)や口臭がひどい場合なども、営業以前に生理的に受け付けてもらえない可能性があるので注意が必要!(特に女性ケアマネに対しては)
④ケアマネ営業のコツ
ケアマネ営業で最も重要なことは、利用者やケアマネに対しての貢献である。
つまり私たちのサービスを使っていただけたなら
- 利用者にこんなメリットがあります。
- 利用者にこんな効果が期待できます。
- ケアマネに対してこのような貢献ができます。
このような視点で、サービス内容をPRするべきである。
これらのお土産も持たずに、ただ『利用者を紹介してください』と言ってきても、利用者の紹介しようがないのである。
ケアマネは利用者や家族から信頼されて、サービス事業所の選定を任されている。信頼されるからにはその期待に応えたいと思うのは当然である。
結局サービスを紹介しても、利用が継続されなかったり、最悪の場合苦情などになればケアマネの信用は地に落ちてしまい、また新しい事業所を紹介することになる。挙句の果てにはケアプラン内容も修正しなくてはならず、無駄な労力を使うことになるのだ!
そんなわけであるから
『あそこのデイサービスに任せれば間違いない!』
『あの訪問看護師さんならなら、きっと何とかしてくれる!』
そんな思いでケアマネはサービス事業所を選択しているのである。
◆ケアマネが関心のあること8つ(営業を受ける際)
①サービス(商品)の具体的内容
②空き情報
③送迎範囲
④営業時間
⑤スタッフのキャラクター(個性)
⑥季節のイベント
⑦利用料金(加算等)
⑧対象となる利用者(介護度・医療依存度等)
ケアマネ営業において利用者の紹介に対する金品の収受(見返り)は厳禁!
ケアマネ営業は忙しくない時間に、5分程度で、質問にしっかり答えらえるよう準備しましょう!
ケアマネは利用者や家族の信頼に応えるために、最高のサービスを紹介しようと考えている。