介護と言う業界で仕事を共にすることが多い『介護職』と『ケアマネ』
どちらも対人援助職であり、ストレスを多く抱える職種と言っていい
しかしカテゴリーとしては『介護業界』『対人援助』という枠でくくれたとしても、抱えるストレスはビミョーに違うようだ!
今日は介護職とケアマネが抱えるストレスの違いを検証してみる。
※ここで言うケアマネとは居宅ケアマネを想定している。
目次(もくじ)
①体力的な疲労によるストレス
介護職 ★★★★★
ケアマネ★☆☆☆☆
『介護職は要介護者を介護するのが仕事である。』
こんな20文字の短い文章の中に介護と言う言葉が3回も入るほど、THE介護と言えば介護職である。介護とは日常の食事、入浴、排せつ介助やレクリエーションや行事、イベントなど業務は多岐にわたるが、その中心は体を動かす肉体労働が中心である。
特に入浴や排泄などは、高齢者を抱えたり、支えたり、無理な姿勢になることがしばしばある為、体力を使う。また車いすへの移乗、ベッドへの移乗など、体が不自由な方を支えたり、抱えたりするわけであるから、相当な体力を使う。
まして、現在の介護現場は絶望的な人手不足により、充分な人員体制で介護している事業所などほぼ皆無で、足りない人手のなか、東西南北、1階から3階まで走り回っている現状であろう
また、介護職は夜勤業務を伴うことが多く、生活が不規則になるので体力的な消耗が激しくなることもある。
一方で、ケアマネジャーに関しては、体力的な負担を伴う業務はほとんどなく、相談援助やデスクワークが中心となる。
介護職からケアマネに転職して『体重が〇kg太った』と言う話はよく聞く話である。
また介護職からケアマネに転職する理由は、年齢を重ねていき『将来体力的に介護職が続けられるか不安』という理由でケアマネに転職する人も多い。それだけ、介護職は体力的な負担が大きいということになる。
②人間関係によるストレス
介護職 ★★★★★
ケアマネ★★☆☆☆
このストレスも介護職の方が圧倒的に多いように思う。なぜならば介護職はチームプレイが中心になる。日勤につけば複数の介護職や看護職、リハ職と仕事を共にすることになる。数人、いや規模が大きい事業所になれば数十人と仕事をすることになるだろう
人間の数が増えれば、合わない人間も出てくるし、くだらない派閥なども発生してくる。意地の悪い先輩や上司、同僚も出てきて、勤務が同じ日などは出勤がストレスとなる
一方でケアマネを考えた時、ケアマネにも人間関係が発生はするが、介護職ほどではないと思う。理由は2つ
ケアマネの事業所は人数が少人数
居宅介護支援事業所の多くは2〜3人程度の規模が多く、多くても5人~6人程度で10人以上のケアマネが所属する居宅介護支援事業所はめずらしいぐらいだ。人数が少なければ、トラブルや人間関係の悩みも少なくなる。それでも、どうしても人間関係が嫌ならば独立して1人ケアマネをやればストレスフリーである。
チームはある程度自分で作れる
在宅のケアマネもチームでの仕事にはなるが、ある程度チームの構成員を自分で選択することができる。例えば
『ヘルパーさんはあそこのヘルパーさんと相性が合う!』
『訪問看護ならあそこの看護師さんが頼りになる』
と言った具合に、利用者の希望は聞きながらではあるが、チーム構成を選ぶ権限が与えられているので、相性の合わない職員や事業所にはサービスを依頼しない!という選択権がケアマネにはある
そうは言っても、横柄な医師や融通の利かないロボットのような行政職員とのやり取りにストレスを感じることももちろんあるが、基本的に事務所に帰れば顔を合わすこともないので、介護職のストレスほどではなかろう
③勤務形態(休日)によるストレス
介護職はチームで運営されているので、自分が休みを取ることになれば、その負担を誰かが担うことになる。例えばインフルエンザで休みが必要になった場合、自分が休んだ労働力は他の誰かが分担して担うか、代わりに誰かが出勤するかして対応することになる。
そのため、自分が休めば、自分以外の誰かに負担をかけることになるので、特に人手不足の介護現場では休みがとりにくい状況にある。
一方でケアマネの休みを考えた場合、ケアマネは基本的に個人商店のようなものなので、自分の仕事の調整さえつけば、比較的休みやすい
例えば、同じようにインフルエンザになったとしても、利用者との約束の変更が調整できれば、それほど気兼ねすることなく休むことができる。
ただし、休み明けの机の上にはメモ用紙が貼りめぐらされ、その日はたまった仕事の処理に追われることになるだろう。
また、もともと休みの予定であったが、どうしても担当者会議の約束や訪問の約束が入り、休みを変更せざるを得ない、出勤せざるを得ない、などと言うのもケアマネ特有の勤務実態であろう
④ペーパーワーク(書類)のストレス
介護職は直接介護の仕事が基本になるが、もちろん諸々の書類業務はあるだろう。それでもケアマネが作成するペーパーワークの負担を考えれば、その比ではない!
今、ケアマネのストレスの断トツ1位はペーパーワークと言っても過言ではない!
- 契約書、同意書
- アセスメントシート
- ケアプラン
- モニタリングシート、評価表
- 支援経過記録
- 医療との連携シート
- 保険者へ提出する相談書、申立書、届出書、申請書
⑤利用者の生活を支えるストレス
利用者や入居者の生活を支えるという面では介護職もケアマネも同じである。しかし、その負荷のかかり方が両職種で大きく異なる。
介護職は一人の利用者を複数で支えている。それはほとんど交代制で支えることになる。つまり、今日一日さえ頑張れば、明日は他の誰かが支えてくれることになる。
どうしても合わない利用者や困った利用者も、今日一日を乗り越えれば、明日は他の介護職が対応してくれる。またその日も他の介護職が協力して対応してくれることが多い。
ところがケアマネはそうはいかない。なぜならばケアマネ(介護支援専門員)は担当制であるため、今日その利用者の問題が解決しなければ、自動的に明日に持ち越される。他の誰かが責任主体となって解決してくれることはない
はっきり言って、この違いは大きい。真面目なケアマネほど利用者の生活を抱え込んで『自分が何とかしなければ!』と利用者の生活、いや人生を抱え込んでしまってストレスを抱え込んでしまう
特に最近では、独居高齢者、老老介護、認認介護などでの増加で、家族の協力を得られないケースが増えており、家族代わりに走り回るケアマネが増えており『利用者のケアマネ兼家族代わり』という理不尽な兼務辞令が発令されているようなケアマネも多々いる
ただし!
介護職は介護事故を起こしてしまうリスクや感染症の拡大のリスクを背負っている。これはこれで精神的にかなり負担のかかることなので、介護職のストレスも相当大きいと言える。
以上が介護職とケアマネのストレスの実態である
どちらもストレスの多い職種ではあるが、そのストレスの中身は大きく異なる
是非参考にしてほしい
・どちらもストレスの多い職種ではあるが、そのストレスの中身は大きく異なる
・介護職は肉体的な疲労、職場の人間関係などがストレスとなっている
・ケアマネは書類作成業務や困難ケースなど利用者との人間関係がストレスとなっている
・どちらがストレスが多いとは言えないが、自分にあった職種を選ぶべき