ケアマネの教科書

ケアマネージャーの役割と仕事範囲

この記事は

  • ケアマネを目指している人
  • ケアマネに転職しようかどうか迷っている人
  • ケアマネを現在やっているが、理想と現実に悩んでいる人

このような人たちに向けて書いている

ケアマネージャーの仕事内容について書いているが
どこかの教科書に書いてあるような理想論ばかりの内容だけではなく
現役のケアマネ(介護支援専門員)がリアル(現実的)な体験をもとに作成している

ケアマネジャーの仕事内容とは?

①利用者や介護者に対する相談業務

やりがい部分



ケアマネジャーの仕事を一言で言うと何か?
と問われれば、私は
『利用者(高齢者)の困りごとの解決』だと言い切る!

介護生活と言うのは基本的に困りごとだらけである。

  • 自分でトイレに行けなくなった
  • 物忘れがひどくなった
  • 1人で買い物に行けなくなった
  • 一人暮らしの母が心配だ
  • 介護に疲れて仕事を続けることができない

これはほんの一例だが
多くの悩みや不安を抱えた高齢者や介護者(家族)の困りごとを解決するのが、ケアマネに課せられた絶対的なミッションである

その解決のためには、まず高齢者や家族の悩みを聞く相談業務が重要になる。
相談業務なんて、ただ相手の話を『うんうん』と聞いていればいいんでしょ!と思っているのならば大間違いである。

話を聞くのも、相手の本心を引き出す『聞く技術』が必要だし、話を聞いたうえで適切なアドバイスをする『提案力』もあわせて必要だ!

・聞く技術:うなずき 相づち 質問力 傾聴 共感 信頼関係構築 など

・提案力 :情報量 情報収集力 情報検索力 プレゼン能力 課題とのマッチング能力

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利用者や家族の話(相談内容)をしっかりと聞いて、ビシッと適切なアドバイスや、有用な介護サービスを提案する。そして、利用者の困りごとを解決し、望む暮らしを実現する。

これが理想的なケアマネの姿である。

大変なところ

利用者や家族の相談は多岐にわたり、また話しが長いことが一般的である。
現実問題として

・話が長い
基本的に『悩みを抱えている人の話は長い!』と覚悟を決めたほうが良い。短時間で要点だけパッパと話をする高齢者などほとんどいない。『若かった頃の話』『病気の苦労話』『昔の武勇伝』『子供の自慢話』『身内の悪口』『不平・不満』これらの話がロングVersionで放送されると思ったほうが良い。

さらに言えば、これらの話はヘビーローテーションで何度も繰り返される(笑)
何度も同じ話を繰り返し長時間聞くことになり『足は痺れるし』『次の約束の時間は気になるし』『聞きたいことは聞けないし』『帰りは遅くなるし』で拷問のような時間を過ごすこともある。

聞きたいことを話してくれない

高齢者との会話のなかで、こちらが聞きたいことと、高齢者が話したいことは必ずしも一致しない。延々と同じ話を聞かされ、結局こちらが聞きたかったことは何一つ聞けなかったなどと言うことも多々ある。

利用者と家族の意見が違う

利用者と家族の希望は往々にして違う。一致しないことの方が多い!違う意見の間に挟まれてケアマネは板挟み状態になる。『どちらの意見を優先すべきなのか?』
また利用者と家族どころか、家族間でも意見が違うので、トリプルサンドイッチ状態にっちもさっちもいかなくなる。

無理難題を要求される

ケアマネは介護保険制度の範囲でサービス調整することが多い為、介護サービスで支援できることは限られている。ところがどっこい、利用者(高齢者)や家族はそんなことお構いなしで、無理難題を言ってくることが多く。ケアマネが一人で抱え込んでしまうこともある。



②ケアプランなどの書類作成業務

やりがい部分

ケアマネは利用者(高齢者)の困りごとを解決しなくてはならない! そのためには必要な書類を作成し、利用者(高齢者)や家族はもちろん、介護チームで目標や課題、役割分担を共有しなくてはならない。

ケアプランはそのような目的で作成される。つまり、ケアプランとは利用者(高齢者)や家族との契約書であり、利用者の目指す生活、望む暮らしまでの道筋を描いた宝の地図である。

ケアマネは頭で描く、困りごと解決プラン、目標達成プランをケアプランと言う形で言語化して文章化して見える化する必要があるのだ!

そのケアプランをもとに、チームが一丸となって『エイエイオー!』で利用者(高齢者)を支えていく!

自分が作ったケアプランをもとにチームが目標に向かって動き出す!そして利用者の悩みや困りごとを解決し、望む暮らしが実現する。利用者や家族から『ケアマネさん! ありがとう!』と感謝される。
これがケアマネの醍醐味である

大変なところ

はっきり言って、ケアマネのペーパーワーク(書類作成業務)量は半端じゃない!これは覚悟しておいた方が良い

  • アセスメントシート
  • ケアプラン
  • サービス利用票 提供票
  • サービス担当者会議の議事録
  • モニタリングシート・評価表
  • 支援経過記録
  • 入退院時の情報連携シート

まだまだ書ききれないくらいあるが、現実問題として最低でも以上の記録は不可欠である!

現在、ケアマネ(介護支援専門員)を苦しめているものは、このペーパーワーク(書類作成業務)だと言っても過言ではない

サービスが一つ変更になるだけで、上記の記録はほぼ全て書き直さなくてはならない。日中、利用者宅や事業所に訪問して、夕方帰って来てから記録作成をする。終わらなければ残業、休日出勤!なんていうこともめずらしい話ではない。

この記録作成業務がケアマネージャー(介護支援専門員)の生産性を著しく低下していると言ってもいいくらい、不要な書類が多い現実がある。

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③サービス事業所、病院等との調整役

やりがい部分

不安や、悩み、困りごとを抱えた利用者(高齢者)は介護サービスを必要としている。

そのため、ケアマネは介護サービスが利用できるようにサービス調整をする必要がある。

利用者の困りごとを聞いたうえで、自分の手持ちのデータベース(引き出し)からベストな社会資源をチョイスし提案していくのだ!

  • 通所サービスなのか訪問サービスなのか?または福祉用具などの環境整備なのか?
  • 例えば通所サービスならば、デイサービスなのかデイケアなのか?
  • 例えばデイサービスであれば、リハビリがあったほうが良いか? 家庭的雰囲気が良いか?
  • 今、空きはあるのか? 送迎は範囲内か? 体験利用・見学は可能か?

これらのあらゆる選択肢の中から絞り込んでいき、決定したサービスや事業所と、今度は直接サービス利用のための交渉や調整、情報提供を行っていくことになる。

また、サービス利用が始まった後も、事業所のスタッフとコミュニケーションを重ねていき、利用者の満足度は? 休まず来ているか? 楽しんでおられるか? 困りごとは解決しているか?といった事項を確認していく必要がある。

つまり!
ケアマネージャーは利用者の困りごとの解決、目標達成のために、優秀な医療や介護技術を持ったチーム作りをして、その後も調整や情報共有していくことでチームのマネジメントを行っていく!

これがまさにケアマネのやりがいであろう!

また、利用者(高齢者)はなんらかの疾患を持っているので、主治医や入院先の病院スタッフとのサービス調整や情報共有といった仕事内容も当然発生する。

利用者(高齢者)や家族のために、事業所や病院を駆けずり回り、フットワークよく調整業務を行っていくわけである。

大変なところ

まず事業所との調整は、人間相手なので思うようにならないこともある

  • ケアマネに情報を提供してくれない
  • サポーティブに関わってくれない
  • 無理を聞いてもらえない

などと言った事業所も中にはあり、ケアマネ自身が傷つくこともある。介護保険ではできることに限りがあるが、事業所によってはめんどくさいから『これはダメ!』『これは出来ない!』『ここまでしか出来ません!』などと言われることも・・・

まあ サービスレベルの低い事業所にはお願いしない!という選択肢がケアマネにはあるが

また、事業所によっては、上司から併設(系列)のサービスだけを使うように指示されているところもあり、サービスを選択したり、事業所を選択したりする権限がそもそも与えられないケアマネも中にはいる。いわゆる『抱え込み・囲い込み』問題である。

さらにケアマネを悩ませる人種は医師である
医師との関わりはケアマネを大いに悩ませる・・・
例えば

  • 医師に利用者のことで電話をしたら『今 外来で忙しい!』と怒られた
  • 利用者の外来に立ち会ったら『何しに来たんだ?』と言われた
  • 利用者のケアプランを持っていったら、『こんなものいらない』と言われた

などなど

まあ、これらの問題はケアマネ側にも問題があるケースもあるし、年々、医師もケアマネのことを理解してくれるようになっているので、このようなトラブルは少なくなっては来ているが、現
実問題ケアマネの悩みの種として『医師との関わりの難しさ』は存在する。

と言うことで、ケアマネの仕事内容をやりがいと大変な側面に分けて紹介した

さらにもう一つ付け加えて言うならば、ケアマネは業務外の仕事をすることがある。いや、せざるを得ないことと言ったほうが適切だろう。

④ケアマネの業務外の仕事

例えば

  • 家族や親類がいない
  • 家族や親類はいるが遠方で協力が得られない
  • 家族や親類はいるが『関わりたくない』と言っている

このような利用者(高齢者)は結構存在し

誰かがやらないといけないが、誰もやる人がいない・・・・
ケアマネの仕事ではないと分かっているが、誰かがやらないと利用者の生活が成り立たない・・・

そんなにっちもさっちもいかない状況がある
そこで

  • ケアマネがやっている業務外の仕事
  • ケアマネの業務かどうかわからないグレーな仕事

を紹介しよう

  • 各種利用者負担割合の減額証の申請
  • 市町村サービス(配食 寝具乾燥サービス)等の申請
  • 障害福祉サービスの利用申請
  • 年金各種申請
  • 公営住宅の入居申請
  • 入居できるアパートを探す
  • 生活保護の申請
  • 電気ガス水道等が停止された際の申請
  • 料金滞納による電話停止の再開申請
  • 消費者被害に巻き込まれた際のクーリングオフ申請
  • 日常生活費の引き出し
  • 滞った公共料金の支払い
  • 入院、入居の連帯保証人
  • 外来受診の同行
  • 薬の管理
  • 通帳の管理
  • 郵便物の管理
  • 救急車の同乗
  • 近隣トラブルの仲裁
  • 災害発生時の安否確認
  • 死亡時の葬儀の手配や同行
  • ゴミ屋敷の片付け

まだまだあるが、こんな仕事(役割)も業務としてやっているケアマネもいるのが現実である。

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これらの現実も踏まえたうえで、ケアマネをやるべきか否かを考えてほしい!

★今日のまとめ★

・ケアマネの仕事内容にはやりがいのあるものと大変なものとが表裏一体である。
・独居・認知症高齢者で家族がいないケースは業務外の仕事をせざるを得ないこともある