ケアマネジャーの主張

介護経営冬の時代で生き残る二つの方法?

★介護事業所が今後の経営におけるポイントを整理

①リスクを冒さない
②低報酬利用者は受け入れない
③安易に加算に手を出さない
④事業を拡張しない

介護業界は報酬単価を下げられ経営難にある

その上、極度の人材不足により瀕死の状態である

そんな中、経営者は何とか生き残れるように試行錯誤している現状だ

そんな介護業界の最近のトレンドは

・リスクは冒さない
・低報酬利用者は受け入れない

このような旗印(経営方針)が目立つようになってきた

①リスクを冒さない

これはわかり易く言うと『問題のある利用者は受け入れない!』
ということだ
では問題のある利用者とは?

①認知症のBPSDがあり、職員の対応に手を取られる
②クレーマーのような家族がいる
③経済難で支払いが滞る可能性がある

このようなケースは
ただでさえ少ない職員の手を取られる
ただでさえ資金繰りが厳しいのに利用者負担分が支払われない
などの理由で敬遠されてしまうのだ!

次に

②低報酬者は受け入れない

これは

①要支援認定や総合事業対象者などの軽度者に対するサービス
②ヘルパーによる生活援助

これらは軒並み報酬が低く、受け入れても採算が合わないため
多くの事業所で拒否される傾向にある

国の方針も軽度者はボランティアや自主的な団体等を活用しなさい!
と言っており、今後ますます軽度者の低報酬化は進むと思われる

介護も経営である以上、採算の合わない事業は手を出さないことである

③安易に加算に手を出さない

3年ごとの介護報酬改定により
加算・減算が生まれては無くなっていく・・・

国は基本単価を下げて、加算設定による
人参をぶら下げるような制度設計をしているが

その人参(加算)に安易に飛びつこうものなら
人員は手厚くする必要があるわ
作成する書類は倍々ゲームで増えていくわで

とても採算が合うものではない
収入が増えるからと言って安易に加算に手を出すと
それを上回る支出になることもあるので注意が必要!

④事業を拡張しない

経営が順調にいくと事業を拡張したいと思うのは当然だと思う
介護の世界でも、自分の事業所のサービスを必要としてくれているのは
嬉しいことだし、それにこたえようとするのは当たり前のことだ!

しかし
希望する利用者(高齢者)がいたとしても
介護する職員が不足している
今後ますます人手不足は深刻になるだろう

さらに
労働環境はまずます労働者有利の不平等条約になり

やれ残業がどうとか
やれ労災がどうとか
やれ賃金がどうとか

すこしでも違反するとブラック企業のレッテルを貼られる

人を雇用すること自体を大きなリスクになる時代なのだ

以上の理由から
今後、介護事業所として生き残っていくには

①リスクを冒さない
②低報酬利用者は受け入れない
③安易に加算に手を出さない
④事業を拡張しない

の原則を守っていく必要があるだろう

『介護事業で利益だけを追求するのはおかしい』
『経営効率だけにこだわるのは適切ではない!』

このような声が聞こえてきそうだが・・・

いかし!
多くの介護事業所は
『世の為 人の為』
このような旗印で起業したはずである
(※中には不純な動機の人もいたが・・・)
ところが度重なる介護報酬の削減
それに連鎖して、低賃金、重労働による人材流出・人材不足
そんな中、なんとか生き残りをかけて導き出した
ギリギリの経営方針であろう

『あそこ事業所は簡単なケースしか受け入れない』
『あの会社はソロバンばかりをはじいている』

などのレッテルを貼られることもつらいが
経営破たん 事業廃止による
雇用の喪失、利用者へのサービス提供中止という責めを負う事の方が
数百倍は避けたい現実である

しかし、もうそこには福祉という概念はなくなりつつある・・・