バイスティックの7原則に
統制された情緒的関与の原則というものがある
おそらくバイスティックの7原則の中で最もわかりにくい原則だろう
1 個別化の原則
2 意図的な感情表現の原則
3 統制された情緒関与の原則
4 受容の原則
5 非審判的態度の原則
6 自己決定の原則
7 秘密保持の原則
これは利用者やご家族との間にどのようなことが起こっても
専門職として冷静に客観的に関与しなさいよ!
と言うものである
ケアマネや介護職はクライアントの生活に関与していく
その方の生活を支えていく立場になると
ついつい感情移入して、冷静な判断が出来なくなってくる
『私がこの方の生活を何とか支えなければ!』
『私がこの方の人生を背負っているのよ』
などとクライアントの生活に入り込みすぎて
家族や親類のような視点で見てしまう
私たちはあくまでも専門職(プロフェッショナル)なわけであるから
同じ視点でクライアントを見るのではなく
専門家として冷静かつ客観的な視点でクライアントを見ていくべきである
しかし、誤解があってはいけないのだが
何も『冷たく対応しろ!』と言っているわけではない
暖かい心は持ちながら、冷静な対応が必要
つまり『ホットなハートにクールなヘッド』と言ったところだ
その視点についてはこちらの記事に記載している
2.5人称の視点(利用者 家族と専門職の中間的な視点)
そして、さらにこの情緒的関与の原則を実践するには
自らを『自己覚知』する必要がある
なぜならば全ての人間は
・価値観
・先入観
・物差し
・色眼鏡
・パラダイム
といった固有のものを持ち合わせている
例えば専門職側に
『人に愚痴や悪口、不平不満を言うべきでない!』
という価値観があると
長男の嫁の悪口や不満を漏らすクライアント(利用者)のことを
ニュートラルな視点で見ることが出来ず
『人の悪口を言うべきじゃない!』
『あなたがそんなこと言うから意地悪されるよの!』
などと言った偏った見方をしてしまう可能性がある
専門職として
自分の色眼鏡で利用者を見たり
自分の価値観を利用者に押し付けたり
することは情緒的関与の原則を守っていないことになる
『事実は1つ 解釈は無限』という言葉がある
事実とは
・上司に怒られた
・利用者の家族から苦情を言われた
・事故で車をぶつけた
・携帯電話を無くした
というもの
しかし、これらの事実には
意味とか思いなどはない
良いも悪いもない
ポジティブもネガティブもないのである
意味づけしているのは自分自身なのである
ポジティブに意味づけしているのも
ネガティブに意味づけしているのも自分自身なのである
なぜなら上司に怒られても
『なるほど〜勉強になった!』と前向きにとらえる人と
『ちくしょ〜やってられねぇ〜よ!』とふてくされる人もいる
つまり自分自身の色眼鏡を通して1つの事実を自分色に着色して見ているに過ぎない
自分のフィルターを通じで事実を解釈しているに過ぎないのである
そんなわけであるから
事実は1つ解釈は無限になる
相談援助のプロであるケアマネジャーは
利用者や家族から言われたことや起きた出来事を自分色に着色して
良いとか悪いとかジャッジするべきでない
つまり事実を『俺色に染める』のは専門職の対応ではない
ということになる
起きた出来事、つまり事実に対して客観的なものの見方と対処をし
利用者にとって
必要な支援は何なのか?
ベストな提案とは何なのか?
を考えるのである
そのためには『自覚』『自己覚知』が必要である
自分自身を知るということだ
自分の『色眼鏡』『物差し』『ものの見方』『考え方』『受け止め方』
を知るということが必要になってくる
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